知的財産を資金調達に生かそう

 中小企業は大企業に比べて担保価値の高い不動産などの固定資産が少なく、資金調達に苦労しがちです。しかしながら、知的財産を活用して資金調達に繋げるという可能性もあります。

知的財産が企業価値を高める

 特許・商標などの知的財産権を保有していると、独自の技術やブランドによって将来のキャッシュフローが見込めることを金融機関や投資家に評価されて、資金調達に結びつく可能性があります。知財が利益につながる可能性をアピールする材料として、専門家による知財価値の評価や知的資産経営報告書(企業の知財やノウハウ等の知的資産を活用した経営の実践を見える形に表現したレポート)などが役立つでしょう。
 中小企業の技術や知財が適正な評価を受けて資金調達に繋がれば、新製品の開発や新規事業の立ち上げで超えなければならない資金調達の高いハードルを下げることができます。知財を活用して投資家や金融機関にアピールするという取り組みは重要です。

知財を生かせる資金調達法

 融資を引き出すうえで知財が役に立つ仕組みとしては、例えば新事業育成資金(日本政策金融公庫)、知財担保融資(日本政策投資銀行)、がんばれ!中小企業ファンド(中小企業基盤整備機構)などが挙げられますが、身近なところでは、ここ数年間続いている「ものづくり補助金」の制度が使い勝手のよいものとしてお勧めです。これらの制度を活用するためには一定の要件を満たして審査に合格する必要があり、申請する前に確認が必要です。

資金調達に向けた取り組み

 知的財産評価に基づく融資や投資は、まだ限定されたものにとどまっていますが、金融機関の側でも中小企業の優れた技術や知財を適正に評価して融資につなげたいというニーズが高まっています。このような状況を踏まえ、特許庁は、金融機関が知財価値評価に基づく融資を行いやすくする取り組みを始めています。
 その具体例が、知的財産を活用したビジネスを金銭的に評価する「知財ビジネス評価書」の作成支援です。金融機関からの申請を受けて、提携調査会社が評価書を作成します。評価対象企業や金融機関は、この評価サービスを無償で受けられます。評価書には、知財を活用した製品やサービスの特長や事業の成長性など様々な情報が盛り込まれ、知財を活用する事業の収益性、成長性、権利関係の安定性等の面で金融機関による評価をサポートします。中小企業と金融機関の相互理解を深める一助となるでしょう。

弊事務所は、事業に役立つ知財の権利化から活用まで幅広くお手伝いいたします。知財サービス企業や他の技術系士業事務所とのタッグで、広範な技術分野に対応するほか、海外権利化や資金調達面のご相談にも応じます。東京新宿を拠点に活動しています。特許をはじめとする知財の権利化・活用をお考えの方は、是非ご相談下さい。