特許の権利化を早める「早期審査制度」

 特許出願後は、他人の模倣や盗用を防ぐためにも早めに権利化することが望まれます。日本と外国の双方で出願する場合、日本で権利化を早く達成すれば、海外での権利化の見通しも大いによくなります。そこで、「早期審査制度」の活用がたいへん有効です。

権利化されるまでの期間

 特許を取得するためには出願手続だけでなく、審査請求という手続が必要です。特許庁では原則として審査請求順(先着順)に審査を行います。特許出願から3年以内に審査請求をする必要があり、審査請求から審査結果が最初に通知されるまでの期間は、特許庁のデータによれば2015年度で10か月程度です。拒絶通知理由への対応や登録料支払いの期間を含めると、審査請求から権利化されるまでの期間として1年半程度が見込まれます。

早期審査制度とは

 特許審査に早く着手してほしい場合は「早期審査制度」を活用することが有効です。一定の要件(例えば出願人が中小企業である。)を満たした場合、普通の(早期審査を求めない)出願に優先して審査を受けることができます。出願人が中小企業や個人であれば、全て早期審査制度の対象です。
 早期審査請求が認められて審査の結果特許査定を受けると、出願から6-7か月程度で権利化される場合もあります。早期審査の請求に追加費用(いわゆる印紙代)はかかりません。ただし申請には事情説明書が必要で、その作成を特許事務所に依頼すると手数料がかかります。

早期審査制度の注意点

 早期審査制度には早い権利化を可能にする利点がありますが、注意すべき点もあります。審査の結果として拒絶された場合は、拒絶査定が早期に確定することになります。そうすると、出願発明を利用した製品に「特許出願中」を表示することができる期間も短くなるので、この表示をビジネスに活用したければ注意が必要です。
 また、出願後に早期審査請求して1年以内に査定が確定した後は、国内優先権の制度を利用することはできません。発明が改良される可能性があるなら、最初の出願から1年以内に国内優先権の利用を検討することも選択肢の1つです。どのタイミングで審査請求して、いつまでに査定をもらうかは、ビジネス戦略に密接に関係します。ぜひ、特許事務所で相談されることをおすすめします。

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